2023.4.22
シティポップ源泉の一つ
荒井由実のデビュー・アルバム
33rpm SEASON III(2023年4月29日OA)No.166
荒井由実『ひこうき雲』
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
今月33rpmは、春に相応しいシティポップをお送りしています。「Winds of City Pop」29日は、荒井由実が1973年にリリースしたアルバム『ひこうき雲』です。
シティポップ特集ラストとなる今回は、まさにシティポップの源泉の一つともいえる、荒井由実のデビュー・アルバムをお届けします。
旧姓・荒井由実は、1954年1月19日、東京八王子にある老舗呉服店の二女として生まれました。中・高生時代から音楽に詳しく、ジャズ喫茶や米軍基地の売店などに出入りしていました。その頃彼女は成毛滋も所属する「ザ・フィンガーズ」というバンドの“追っかけ”をしていて、ベースのシー・ユー・チェンがそう呼んだのが、‟ユーミン”の始まりだそうです。
彼女のデモテープを聞いたチェンがその才能に衝撃を受けたのが縁で、1971年、元ザ・タイガースの加橋かつみへ提供した「愛は突然に…」で作家デビュー。多摩美術大学在学中の72年、シングル「返事はいらない」でアーティスト・デビューしました。デビュー曲は、かまやつひろしがプロデュースしたものの300枚ほどしか売れず、今となっては“幻のシングル”と言われています。
73年にリリースしたアルバム『ひこうき雲』は、細野晴臣、松任谷正隆、鈴木茂、林立夫、つまりキャラメル・ママが全面サポート。キャロル・キングを参考に、セッションによってアレンジを決めていくという“ヘッド・アレンジ”方式で録音され、まるでバンドのようなサウンドに仕上がりました。当時は、GAROやチューリップが活躍し始めましが、まだまだ歌謡曲が主流。アルバムはフォークやロックとも違う洗練されたサウンドで、シーンに衝撃を与えました。
元々、作家志望だったユーミンは、このデビュー作で知名度をあげ、本格的にステージ活動を始めます。74年には『MISSLIM』、75年に『COBALT HOUR』と同じ布陣でリリースし、この時点で「やさしさに包まれたなら」「卒業写真」「ルージュの伝言」といった代表曲を発表。フォークでもロックでも歌謡曲でもない新しいジャンル‟ニュー・ミュージック”と呼ばれ、まさに今話題のシティポップへの扉を開けました。
75年には、バンバンに提供した「『いちご白書』をもう一度」でオリコンチャート1位を獲得。この年、自身もシングル「あの日にかえりたい」で1位となりました。
1976年にリリースされた独身時代最後のアルバム『14番目の月』からは松任谷正隆がプロデュースを全面担当、リリース直後に二人は晴れて結婚しました。本人は引退も考えたそうですが、夫の後押しもあり松任谷由実としてアーティスト活動を続行。一時はセールスが落ち込みましたが、並々ならぬ努力と気力で人気は復活していきます。その後の活躍については、説明の必要がないぐらいなので割愛させていただきます。
荒井由実のアルバム『ひこうき雲』
SIDE A
「ひこうき雲」
「曇り空」
「恋のスーパー・パラシューター」
「空と海の輝きに向けて」
「きっといえる」
SIDE B
「ベルベット・イースター」
「紙ヒコーキ」
「雨の街を」
「返事はいらない」
「そのまま」
「ひこうき雲(short version)」
荒井由実のアルバム『ひこうき雲』いかがでしょうか?
ちなみにタイトル曲は、立教女学院のパイプ・オルガンとプロコル・ハルムの影響を受けたそうです。
★松任谷由実 オフィシャルサイト
33rpm『ひこうき雲』荒井由実
●ON AIR:2023年4月29日(土)21:00~21:55