2024.5.18
5月の空に響き渡るJ-ROCK
80年代の扉を開けた佐野元春
33rpm SEASON IV(2024年5月25日OA)No.222
佐野元春『BACK TO THE STREET』
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
今月は5月の空に響き渡る80年代J-ROCKをお届けして来ました。その最終回は、80年代の扉を開けた佐野元春のデビュー・アルバム『BACK TO THE STREET』です。
70年代の終わりにメインストリームとなっていたニュー・ミュージック。そんな時代に新しいロックを提示したのが佐野元春ではないでしょうか?それまでのロックと比べてスタイリッシュで、ポップな感覚を持ち合わせたロック。
1980年にデビューした佐野元春は、1956年3月13日東京・神田生まれ。家にはステレオがあって、常に音楽が流れているような家庭で育ちます。特に母親は音楽が好きで、レコード喫茶を営んでいたほどでした。
中学生になると音楽に熱中、ギターばかりかピアノまでも独学で覚えてしまいました。早くもソングライティングに興味を持ち、ヘルマン・ヘッセの詩に曲を付けたのが最初だそうです。高校に入るとバンドを組んで、オリジナル曲を作っては披露する日々を送ります。
その頃ラジオでボブ・ディランに出会い、詩に興味をもってビートニク作家たちに影響を受けます。そしてこの時点ですでに「情けない週末」という、後にレコード化される曲も書いていました。その頃「バックレイン元春セクション」というバンドを率いてコンテストにも出場しますが、デビューまでには至りませんでした。
大学卒業後は広告制作会社に就職、ラジオ番組の制作をしていましたが、曲は作りためていました。仕事でアメリカのFM局を取材中に現在の自分に疑問を抱き、帰国して番組を仕上げると退社。その頃デモ・テープを聴いた何社かのレコード会社からオファーがあり、設立されたばかりのEPICソニーから、1980年シングル「アンジェリーナ」でデビューします。
『元春レイディオショー』のラジオDJとしてコアなファンはついていたものの、2ndアルバム『Heart Beat』も不発で、ブレイクには至りませんでした。82年、不退転の覚悟でリリースした3枚目のアルバム『SOMEDAY』がようやくヒット。
商業的成功を手にしながら、単身ニューヨークに渡り制作したアルバム『VISITORS』では、いち早くHIPHOPを取り入れ、日本の音楽シーンに衝撃を与えました。また86年には、UKシーンを意識したアルバム『Café Bohemia』をリリース。92 年の『Sweet16』では日本レコード大賞最優秀アルバム賞を受賞しました。
95年に新しくホーボー・キング・バンドを伴って『FRUITS』を発表、10年間活動を共にします。また2004年にはアーティスト主体のレーベル「Daisy Music」を設立。続いて若手ミュージシャンによるコヨーテ・バンドとレコーディングに入り、2007年にアルバム『COYOTE』をリリースしました。現在もこのコヨーテ・バンドと共に、足を止めることなく第一線を走り続けています。
佐野元春のデビュー・アルバム『BACK TO THE STREET』
SIDE A
「夜のスウィンガー」
「ビートでジャンプ」
「情けない週末」
「Please Don't Tell Me A Lie」
「グッドタイムス&バッドタイムス」
SIDE B
「アンジェリーナ」
「さよならベイブ」
「バッド・ガール」
「Back To The Street」
「Do What You Like(勝手にしなよ)」
佐野元春のデビュー・アルバム『BACK TO THE STREET』いかがでしょうか?
ちなみに佐野元春の誕生日、1956年3月13日。その日はエルビス・プレスリーがRCAレコードから最初のアルバムをリリースした日で、プレスリー・ファンだった彼の母は、この偶然をとても喜んでいたそうです。
★佐野元春 オフィシャルサイト
33rpm『BACK TO THE STREET』佐野元春
●ON AIR:2024年5月25日(土)21:00~21:55